ロンドンの冬。長い長い夜。日本を離れたころ、さびしい気持ちを抱えて、
フラワーアレンジメントを習い始めました。 その頃は、ただただ、
持ち帰った花のエネルギーに感動し、街を彩る花装飾に魅了されたものでした。
そこから、私のヨーロッパでの暮らしが始まりました。
長い夜のためのオペラやバレエ。
招かれたティーパーティ。そこで見たティーカップ。。。
ずいぶん大げさな装飾のある建築物
どう観賞したらよいかわからない宗教画
あまりに繊細な模様に目がくぎづけになった銀のスプーン
そのどれもに、長い歴史と人間の「欲」と「美意識」があったことに、本当の意味で気付いたのは、日本に帰国し、しばらくしてからでした。
そこから、もう一度、ヨーロッパの歴史文化を、貴族たちの生活から見つめ始めて10年の時間がたちました。
そして、今、私ができることは
西洋文化の一部を「貴族文化」の歴史から紐解くことにより、今に生きる私たちに「・・・なるほどね!」の項目を増やしてもらうことだと思っています。
ヴァレンタインもイースターも、知って驚く「なるほどね!」がありました。
一杯の紅茶も、味わい深くなるはずです。
美術館でみた一枚の絵にも、驚く仕掛けとメッセージがありました。
「アート オブ リビング」のお話をしていると、よく「先生のお話を聞いてから、ヨーロッパ旅行すればよかった・・・」という言葉を耳にします。私なんて、何年も住んでいたのですから、心底、そう思ったものです。
でも、いま、考えてみると、歴史的なものも含めて、初めて、その場所、その人に出会ったとき、左脳がお休みしていたからこそ、右脳が活躍できたのではないかと思うことがあります。歴史的背景、その時代に生きた上流階級の生活を想像し、贅をつくした生活文化を知り、「あぁ。。。この知識を踏まえて、もう一度、あの場所を訪れたい!!!」
そう、思いながら、自分の毎日に素敵なエッセンスを加えていく。。。
そして、同じ場所を、もう一度、訪れたとき、「なるほどね!」とうなずきながら、また、心に刻む時間を持つ。
アート オブ リビングのお話は、そんな世界への入口です。
井上麻佐子